ハイライト
- 手入れの行き届いた豪壮な茅葺屋根
- 当時の大工さんの美意識をしのばせる数々の埋め木細工
- いまも毎日火が炊かれる現役の囲炉裏
目黒邸は、割元庄屋(郡代・代官などの指揮下に庄屋を支配して、年貢の割り当てや命令の伝達などを行った)を務めた目黒家の役宅を兼ねた住宅です。建物は寄棟造りで天井が高く、柱や梁は太い木で豪雪に耐える構造。豪雪地のため、ほかの豪農の館と違い、屋敷のまわりには塀はありません。
塀をたてても、大雪でこわれてしまうのですね。
そのため入口の門も、庭にある赤い鳥居もすべて雪の季節には取り外せる仕組みとなっていて、春になると門を組み立て設置するとのこと。
外塀もないため外からの侵入者を防ぐための寝ずの見張り番の部屋が玄関をはいった左手には残されています。
また、割元庄屋は苗字帯刀を許されていたため、天井に当時の名残として槍掛けも残っています。
手入れの行き届いた豪壮な茅葺屋根
取材をしたのは5月中旬でした。まだ雪の残る屋敷内。茅葺屋根のすぐ下まで雪は積もるんだそうです。
正面から見える美しく整えられた茅葺屋根に圧倒されます。県内の豪農の館でも茅葺屋根のものは珍しく大変貴重だそうです。千鳥破風という屋根の形状が邸宅に威厳を与えていますね。
茅葺への防虫のため今でも1年中囲炉裏に火がくべられているらしいですよ。
昔のひとの知恵はすばらしいですね。
当時の大工さんの美意識をしのばせる数々の埋め木細工
またほかの豪農でも見ることができる特徴的なものがあります。
それは、埋め木です。埋め木というのは、床材などの表面にできる穴を修復する技法ですが、単なる補強ではなく、工夫を凝らした大工さんの遊び心ともいわれています。
ここ目黒邸では、矢じり、破魔矢、菱形、熨斗のかたちなどをたくさん見ることができますので、ぜひ探してみてくださいね。新潟県内の他の豪農でも見ることができますよ。豪農めぐりの際にそんな宝探しのようなことも楽しいかもしれません。
またクギを打ち付けた跡を隠すための釘隠しも、客間はおめでたいデザインの橘に変えてあったり、ふすまの引手などにも装飾が加えられたりしていて、贅を尽くした職人さんの細工をぜひお楽しみください。
いまも毎日火が炊かれる現役の囲炉裏
玄関を一歩はいると、煤の香りに包まれます。そこは囲炉裏のある土間になっています。
茅葺への防虫のほかに、柱などへの防水効果もあるため今でも1年中毎日囲炉裏に火がくべられているということですね。黒光りした太い柱や豪壮な茅葺屋根はこの囲炉裏に守られているというわけです。
夕方遅い時間になると火を落としてしまうそうですので、囲炉裏端を体験したい方はお早目の時間にどうぞ。
新潟ならではの風物詩として「雪」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。ここ魚沼は新潟でも有数の豪雪地帯です。豪雪を支える重々しい茅葺屋根や太い柱、囲炉裏を味わい、雪深い魚沼の当時の暮らしを想像してみてはいかがでしょう。
取材を終えて・・・
目黒邸は新潟県にある豪農の館の中でもJRの駅から徒歩5分ほどと近く、電車の旅の方にもいきやすい場所にあります。私は車で行ったのですが、山並みをぬけていく電車の様子が美しいスポットがあり、その様子を撮影するのも楽しめました♪
電話番号
025-797‐3220
所在地
新潟県魚沼市須原892
時間
午前9時~午後4時 ※目黒邸休館日:年末年始 ※目黒邸資料館休館:冬期間
料金
目黒邸、目黒邸資料館、民族文化財館共通 大人:500円、小人:100円
目黒邸のみ 大人:300円、小人:100円
目黒邸資料館のみ 大人:200円、小人:100円
交通
電車 JR只見線越後須原駅から徒歩5分 JR小出駅からバス25分
車 小出I.Cより車で20分 堀之内I.Cより車で20分
その他
駐車場あり 英語解説書あり(受付にて)
