現在日本には、16万を超える神社仏閣が存在するといわれています。ここでは寺院と神社にわけて、まずは寺院の建築の見どころについて見ていきたいと思います。

 寺社

日本寺院のみどころ:組物からみる

日本の伝統的な建物は『寺院や神社』と『住宅』に大きく分けられます。

木造の伝統建築に限って言うと、組物(くみもの)があるかないか、による分類がわかりやすいと言われています。『住宅』につかわれる建築物には例外を除くと組物がありません。

組物とは、柱と梁(はり)、桁(けた)がぶつかる部分に用いられる部材で、構造的に補強するものです。(虹梁・蟇股・木鼻についてはこちらの記事をご覧ください)

組み物 

組物:肘木と斗

上部からの荷重を支えるのが肘木(ひじき)、その肘木を受ける部材の斗(と、ます)と呼びます。この組物がもつ力強さとデザインには惹きつけられます。

建物の規模に応じて、肘木だけのものがあったり、組み合わせもさまざまです。

日本建築組み物 図解

奈良の法隆寺には、雲形をした「雲斗(くもと)」、「雲肘木(くもひじき)」があり、これらはいまでは法隆寺周辺の古寺でしかみることができないそうです。古寺を巡る時にはぜひこのあたりの貴重で珍しい組物にも注目してみてください。

組物:貫と楔

鎌倉時代(1185〜1333年)になり、中国との国交を回復すると新しい建築様式が伝来します。それまでの建築様式は、「和様」、新しい建築様式は「大仏様(天竺葉)」、「禅宗様(唐様)」と呼ばれる様になります。またその後それらが入り混じった「折衷様」という様式も誕生しました。

大仏様の組物で特徴的なのは、貫(ぬき)という柱を貫通する横材です。柱の穴に差し込み、さらに楔(くさび)をうち、枠組みを作ります。これにより建物は構造的に安定したそうです。

組物:詰組

禅宗様では、「詰組(つめぐみ)」といわれる特徴的なスタイルがあります。通常は柱の上にしかない組物が、柱と柱の間にも並ぶものです。つまり倍の数の組物がぎっしりと詰まってみえるので、それだけでも圧倒的な重厚感をあたえるものです。


寺社 伽藍配置日本寺院のみどころ:伽藍からみる

次に、寺院のみどころとして、『伽藍(がらん)』をみてみます。

伽藍とは、寺院を構成する主な建物で、本尊を安置する金堂、仏舎利(ぶっしゃり)をまつる塔、仏法を説く講堂や法堂、回廊(かいろう)の正面に開く中門、鐘楼(しょうろう)などのことです。境内の中にそれらの建築物が配置されたことを、伽藍配置(がらんはいち)と呼びます。

山門

中国では主要な建物を一直線上に配置する伽藍配置が一般的だったとされます。日本にも中国から寺院建築が伝わったために、初期はそのような配置だったようです。

 

寺社 三重塔

宗派や時代によって配置には特徴があり、塔が中心であったり、金堂が中心であったりさまざまです。

舞殿

寺社 伽藍配置寺院が平地に建てられた時代には、伽藍は整然と並んでいました。

しかし、最澄、空海の活躍に伴い隆盛期をむかえた比叡山延暦寺(ひえいざんえんりゃくじ)や高野山金剛峰寺(こうやさんこんごうぶじ)などに代表される密教寺院では変化が訪れます。

平地ではなく山岳地帯に作られることが多かったため、伽藍配置は整然としたかたちを保つことができなくなり、自然と溶け込んだ配置へと形を変えていったと言われています。

禅宗様は、中国の禅宗寺院を模範とした伽藍配置で、主要伽藍は南北に一直線に並び左右対称を基本とした整然とした配置なのが特徴といわれます。

「日常生活のすべてが修行の場」とかかげられていたため東司(いまのトイレ)や浴室なども伽藍の主要な位置を占めました。自然とのつながりも強かったため、建てられる場所も景勝の地が選ばれたようです。

寺社伽藍配置は上から眺めることはなかなかできませんが、お寺のパンフレットなどでその配置を見比べてみるとまたそれぞれの違いを感じられ面白いと思います。


寺社 屋根日本寺院のみどころ:屋根のかたちからみる

寺社 屋根屋根のスタイルとして、切妻造、入母屋造、寄棟造の3種類をご紹介します。

切妻造は山型に合わせた屋根で、神社ではこのは屋根が主流です。

寺社 桜

入母屋造は切妻作りの妻の下の部分に屋根をつけたもので本堂などの建物に使われます。

寺社 屋根

寄棟造は四方から屋根をかけたものです。

 


寺院建築の建築の特徴を、いくつかの視点からみてみました。

ここではほんのいくつかのみどころしかあげることはできませんでしたが、宗派や時代によってもさまざまな特徴があります。

私自身、これまでは漠然と寺社を訪れていました。いま、ほんの少しですがみどころがわかってくると、その細工の繊細なデザインに施された意味や背景が気になるようになり、これまでよりももっと楽しく興味深くみることができるようになってきたところです。

ぜひいろいろな特徴を見比べてみて研究してみてくださいね。

日本の神社について

次に、神社ですが、日本には10万余の神社があるといわれ、そこにはさまざまな神様が祀られています。

では今度は神社のみどころをみていってみましょう。

依り代

神社のみどころ:神様がおりたつ目印〜依代

もともと岩や樹木などに神が降臨すると考えられていて、現在でも山の中で樹木や大きな石に注連縄(しめなわ)をはったものを目にすることがあります。これは聖域を示すと言われています。

これらは目印となるもので、依代(よりしろ)と言われます。現在でも神棚に榊(さかき)を供えますが、それも目印としての役割ということのようです。

依り代

また神社のあるところには高い木がまわりを囲んでいることが多いですよね。これは神様が一番最初に高い山や高い木々に降り立つといわれていたことにもつながるといわれているそうです。

どおりでこんもりと木々が集まっているところにそっと近づいてみるとそこに神社があることがありますよね。

このような神社をとり囲む森林は鎮守の杜(ちんじゅのもり)とよばれています。そして、鎮守の杜は斧を入れないのが鉄則とされているそうで、そのためにその土地の植生(しょくせい)が保たれる場所としても重要視されているということです。

神棚


神社 鳥居神社のみどころ:独特な建築物

現在みるような神社形式になったのは、仏教伝来以後で、独自の建築物をつくっていったといわれています。

 

手水舎

 

神社建築は、主に本殿、参拝者が礼拝するための拝殿、舞や神楽を奉納するための舞殿(ぶでん、まいどの)、参拝前に手と口を清める手水舎(ちょうずや)、神社の周りを木々で囲む玉垣(瑞垣)などからなっています。

手水舎

また、入り口にたつ「鳥居」「狛犬」や、「手水舎の作法」については別記事にありますので、そちらをご覧ください。

神社神社のみどころ:妻入と平入

つぎに、神社の入り口について見比べてみたいと思います。

建築用語では、屋根の三角形が見える面を妻(つま)、そうでない側を平(ひら)と呼びます。

妻と呼ばれる面に入り口がある建物を妻入(つまいり)、平面に入り口がある建物は平入(ひらいり)といいます。ちなみに、伊勢神宮内宮の正殿は平入、大社造りの代表的な建物、出雲大社の本殿は妻入です。

千木鰹木神社のみどころ:千木と鰹木

神社建築の特徴的な装飾といえば、屋根の上にある『千木(ちぎ)』、『鰹木(かつおぎ)』があげられます。

千木とは、屋根の両端を交叉させた部材、鰹木(堅魚木とも書きます)は、屋根の上に棟(屋根の頂上の屋根を構成する面と面とが交わるところ)に直角になるように平行して並べた部材のことをいいます。

装飾の違いも見比べてみると楽しいですね。(鰹木の数は神明造で10本、住吉造では5本、大社造では3本となっているそうです。)

建物が幾つか並んでいた時に、奥まったところの建物にだけ鰹木がのっています。その場合はその建物が、神様の祀られている建物ということのようです。また本数によって神様の性別がわかるという説もありますが、例外もあるようで、はっきりしたことはわかりません。

ちなみに、春日大社に代表される春日造では、千木、堅魚木は載せないそうです。

稲荷 狐

きつねが出迎えてくれる稲荷神社とは?

神社には、天照大御神、イザナギ、イザナミをまつる神社は多数ありますが、そのほかにも八幡神、稲荷神も全国でたくさん見ることができます。

お稲荷さんと親しみをもってよばれる稲荷神は、食物を司る神様といわれています。

豊かに実った稲を収穫し、捧げるということで、稲作を長く営んできた日本人にとって、身近なものであったのだと思います。

 

 


神社仏閣には、このほかにもまだまだたくさんのみどころがありますが、あまりにも奥が深くほんのさわりしかお伝えできません。

またこれから魅力的なみどころをみつけては、記事をじっくりと増やしていきたいと思っています。

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