竹原春泉画「絵本百物語」
「お歯黒べったり」は、夕暮れどきに人気のない神社や寺に花嫁衣装であらわれるといいます。
むかしはお嫁入りをすると、歯を黒く染める習慣があり、それをお歯黒といいました。
美しい花嫁の後ろ姿にひかれ声をかけると、振り返ったその顔は目も鼻もないのっぺらぼう。
びっくりしてひっくり返っていると、今度は、やたらと大きな口がぱっくりと開き、お歯黒のついた真っ黒な歯をみせて、けたけたと笑うといいます。花嫁姿の真っ白なのっぺらぼうに、むきだしになった黒い歯。考えただけでおそろしいですね。